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第1章：偶然の出会い
「文香ちゃん、この本どう？」
五書が興奮気味に手にしていたのは、古びたミステリ小説だった。
文香は興味津々で本を受け取り、ページを開く。
「『狼の罪』……これは珍しいタイトルだね。」
「この本、お父さんが見つけてきたんだ。古い本の収集が趣味で」
美綴が加わり、興味津々の様子で文香たちに近づいてきた。
「何か面白そうな本を見つけたの？」
「そうなんだよ！ これ、『狼の罪』っていうミステリ小説なんだって」
美綴は興味津々の表情で本のタイトルを見つめた。
「ミステリ小説？ 私も読んでみたいな」
文香は微笑みながら本を手渡した。
「ぜひ読んでみて。きっと面白いと思うよ。」
三人は図書館の片隅で本の話に夢中になっていた。
そこには数多くの本が積まれた棚があり、知識の宝庫が広がっていた。
文香はいつものように本の世界に浸りながら、心地よい時間を過ごしていた。
彼女はミステリ研究部に所属している1年生。部員は彼女一人だけで活動もあまり盛んではなかった。それでも彼女は読書が好きで、自分の興味を追求するために部に入部したのだ。
「文香ちゃん、この本に書いてある謎解き、僕たちで解けると思う？」
天文部の1年生、五書が本を指して問う。
文香は笑って応えた。
「もちろん、一緒に解いてみよう！ きっと楽しいはずだよ。」
彼女たちは本の中の謎に挑戦することに決め、その興奮冷めやらぬまま学校のミステリ研究部に向かった。
第2章：謎の少年と野望
研究部室に入ると、そこには誰もいなかった。文香たちは謎解きのために集中し始めた。
すると、突然、誰かが扉を開けて室内に入ってきた。3人は一斉に振り向くと小柄な少年がそこに立っていた。
彼は可愛らしい顔立ちをしており、一目では女性と間違うほどだった。
「どなたですか？」
文香が少年に尋ねた。
少年は微笑んで答えた。
「僕は、日日あかり……隣の国『NoTe』から来た」
文香たちは驚きの表情を浮かべた。
彼らの住むTexTの隣の国NoTeは、すでに滅んで人間の立ち入り禁止となっているはずだ。
「なぜここに……？ それに、NoTeは滅んでしまったはずじゃ……」
文香が疑問を抱いて尋ねた。
日日は不気味に微笑みながら答えた。
「確かにNoTeは滅んだよ。僕はその変わり果てた姿をこの目で見た」
日日は美綴を指差す。
「君、隠してる事があるよね」
「え……」
美綴の表情が曇る。
「君はこの国の者じゃない存在を招き入れた。それは災いの素……『色付き』の力。だから『消す』」
日日は美綴に襲いかかろうとする。
咄嗟に文香が日日に体当たりしてその攻撃を避けた。
「……僕はTexTの世界をまっさらに塗り替えたい」
文香たちは驚きの表情で日日を見つめた。彼の言葉には何か異様な情熱が感じられた。
「なぜTexTの世界を塗り替えたいの……？ どうしてそんなことを考える？」
五書が尋ねた。
日日は少し悲しげな表情で答えた。
「僕にはTexTの世界の美しさが分からない」
「僕が生まれ育った場所は、水没し、暗い海の底へと変わってしまった……。僕は本当の、あの何もない……『君』と僕しか存在しない、美しい世界を見たい……」
文香たちは彼の思いに複雑な心境を抱きながら、彼の野望を阻止するために立ち向かう決意を固めた。
第3章：色付きの謎
文香たちは日日の野望を阻止するために、『色付き』と呼ばれる特殊能力者の謎に迫ることにした。
彼らはまず、『色付き』についての文献を調査し始めた。TexTの国境立スタンド高校の学校の反対側には別の国があるが、立ち入りが禁止されているため、そこからの情報収集は難航した。
「『色付き』って一体どんな能力なんだろう？」
美綴が疑問を口にした。
文香は考え込んだ後、言葉を紡いだ。
「『色付き』についての記述は限られているけど、能力が発現すると周囲の色彩が変わると書いてあるよ。具体的な能力については分からないけど、何か特別な力を持っているんだろうね」
五書は少し落胆した表情で言った。
「……僕も『色付き』になりたいと思ったことはあるよ。でも……」
星に願うことしかできない。だから天文部に入った。
文香は彼を励ましながら言った。
「大丈夫だよ、五書。私たちできることをやってみる。きっと何か手がかりが見つかるはずだから。」
美綴も同意しながら言葉を続けた。
「私ね……『色付き』ではないけど、実家の倉庫にある本を開いたら、異世界から不思議な動物がやってきたの。多分、あの人の言う災いって彼のことなのかも。……はやく彼を元の世界に返すためにも、『色付き』について調べることは必要だと思う。」
文香たちは『色付き』の謎を解くためにさまざまな手がかりを追い求めながら、彼らの冒険が始まった。
第4章：謎の『君』
文香たちは次第に『色付き』に関する情報を集めていく中で、さらなる謎に直面した。
それは日日が『君』と呼ぶ存在の正体だった。
彼らは『君』が日日に関係していることに気づいた。
しかし、具体的な能力や目的についてはまだ分からなかった。
「『君』って一体何者なんだろう？」
文香が考え込んでいると、五書が思いついたことを口にした。
「日日くんが言っていた『NoTe』の滅びに関係しているかもしれないよ。彼は隣の国から来たと言っていたけど、それが本当なのかもしれない。」
美綴も頷いて言った。
「日日くんはTexTの世界を塗り替えたいと言っていたけど、その野望が『君』に何か関係しているのかもしれないね。」
文香は彼らの言葉に深く考え込んだ。「そうだね、『君』が日日と何らかの関係を持っていることは間違いなさそうだ。私たちは彼らの関係を解明することで、『色付き』の謎に迫れるかもしれない。」
彼らは『君』と日日の関係を解明するためにさらなる調査と情報収集に取り組むことにした。
第5章：謎の結末
文香たちは研究部室に集まり、日日と『君』の関係を解明するための情報を共有した。
「『君』の正体はNoTeの創造主、そして日日のきょうだいだということ……。それなら日日がTexTを塗り替えたいと思う気持ちも分かるような気がする。彼は失った妹を取り戻したいんだろうね」
文香が考え込む。
五書は驚きながらも言った。
「でも、彼がTexTの世界を白く塗り替えるという行動は、多くの人々に迷惑をかけることになる。私たちはそれを止めなければならな。」
美綴も同意しながら言った。「そうだ、私たちは日日に向き合い、彼が失った姉を取り戻す方法を探さなければならない。彼がTexTを破壊する必要はないはずだ」
彼らは困難な決断を下すために日日との対話を試みることにした。
文香たちは日日と会うために彼の待つ場所へ向かった。そこに日日の小柄な姿が現れる。
「なぜここに来たの」
日日は不審げな表情で問いかけた。
文香は優しく微笑みながら言葉を紡いだ。
「私たちは君の思いを理解しているつもりだよ。君が妹を取り戻したい気持ちは分かる。でも、TexTの世界を破壊することは多くの人々に迷惑をかけることになる。だから代わりに、私たちと協力して妹を探す方法を見つけよう！」
日日の表情が変わり、迷いが現れた。
「……本当に？ 本当に……探せる？ どうやって……」
五書が自信を持って言った。
「私たちの力を合わせれば、きっと妹さんを見つけ出せるはずだよ。僕たちには繋がりのある異なる世界からの仲間がいるんだ。……そう、美綴の召喚した子と、美綴の力……！！ 彼らの力を借りれば、妹さんを見つけ出す手掛かりが得られるかもしれない」
日日はしばらく黙考した後、頷きながら言った。
「分かった、僕も協力する。だけど、もし見つけられなかったら…」
美綴が日日の手を取りながら優しく言った。
「見つけられますよ。私たちが一緒になれば、絶対に見つけ出すことができる！」
日日は少しずつ心を開き、彼らと協力することを決めた。
文香たちは手を取り合い、日日の妹を探す冒険に乗り出すのだった。
彼らはTexTの世界を守りつつ、日日の心の傷を癒し、妹との再会を果たすために奮闘するのだった。
この物語の結末は、彼らの絆と努力に委ねられている。
彼らの団結と友情がNoTeを取り戻す鍵となるのか、その行く末は果たしてどうなるのだろうか。